住宅ローンの金利といえば、将来的な変動リスクがある「変動型」と金利が変動しない「固定型」の2タイプあり、変動型の金利が低く、固定型の金利が高いというのが従来の常識だった。しかし、今年2月に日銀がマイナス金利を導入したことで、ついにそれが覆されつつある。
主要行の住宅ローン金利(8月の最優遇適用金利)を見ると、「変動型」では三菱東京UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクが「0.625%」(みずほはネット借り換えの場合、0.6%)、りそなが「0.625%」(ネット借り換えは0.569%)、三井住友信託が「0.6%」となっているが、「10年固定型」では三菱東京UFJが「0.5%」、三井住友信託が「0.35%」などと固定が変動を下回る“逆転”が起こっているのだ。
なぜこんなことになっているのか。固定型は長期金利にほぼ連動し、その指標となる10年もの国債の利回りはマイナスとなっており、それが反映されて引き下げられた格好だ。一方、変動型は短期プライムレート(銀行の企業向け融資の際に業績好調などの理由から適用される最優遇貸出金利のうち1年以内の短期間のもの)を基準にして、半年ごとに利率が見直されるが、その水準は銀行側の事情によるところが大きい。すでに短プラは空前の超低金利下にあり、それを収益源とする銀行側としては「これ以上は下げたくない」のが本音であるため、変動型よりも固定型の方が低くなっているのである。