日銀のマイナス金利導入で住宅ローン金利が過去最低水準まで下がり、マイホームを購入したい人にとっては追い風のはずだが、ここにきて首都圏のマンション販売は変調をきたしている。
不動産経済研究所が発表した7月の首都圏マンション市場動向によると、発売戸数は前年同月比30.7%減の3317戸と8か月連続で前年実績を下回り、実際に売れた契約率も63.3%と好不調の目安となる70%を2か月連続で割り込んだ。
今年5月まで12か月連続で上昇していた平均販売価格も、6月から下落に転じ、7月も前年同月比で1戸当たり297万円(5%)ダウンの5656万円となっている。なぜこんなことになっているのか。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)はこう分析する。
「建設コストが上昇して販売価格が高止まりしてきた中、いくらローン金利が下がっているとはいえ、そもそも給料が上がらない中では買いたくても買えない人が少なくありません。少し前までは円安を背景に海外勢が爆買いしていましたが、円高の進行で一時の勢いを失いつつある。買い手不在の中、次々と売り出しても売れないのは当然といえるかもしれません」(藤川氏。以下「」内同)