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「40過ぎて定職なし息子に財産残したくないが…」70代男性によぎる不安

もし認知症になったらお金の管理を誰に任せればよいのか(イメージ)

もし認知症になったらお金の管理を誰に任せればよいのか(イメージ)

 人生の総仕上げの段階では、「子供に財産を残さない」という選択肢もあっていい。「残す」ことを前提とするから、相続への備えなどに時間も手間もかかる。いっそ、自分と妻のために資産を使い切り、思うように生きたほうが幸せではないか。

 ただ、そう考えようとしても、不安が残る人は多いだろう。70代男性はこう話す。

「40歳を過ぎても仕事に就いたり辞めたりを繰り返しているひとり息子に財産を残したいという気持ちはありません。でも、私か妻が認知症になったりした時のことを考えると、生活の基盤となるお金の管理などが心配です。そうなると、息子にある程度、遺産を用意することを前提に、ゆくゆくは財産の管理を任せたほうがいいのではないか」

 こうした不安も十全の備えがあれば解消できる可能性がある。司法書士法人リーガルサービス代表の野谷邦宏氏が言う。

「夫婦だけで、あるいは独り身で過ごす老後の財産管理には、『法的自立』がひとつのカギとなります。足が不自由になったり、認知機能が低下したりした際に、第三者である専門家から必要なサポートを受けられるような法的体制を整えることです。

 たとえば、外出が難しくなる事態に備えて、代理人が生活費などを預金から下ろせるようにする『財産管理契約』、認知症を患った時に財産管理を任せられる『任意後見契約』、さらに死後の葬儀などの手配を委託できる『死後事務委任契約』などがあります。

 様々な相談を受けますが、相談に来た人が認知症を患うようになった後、我々があらかじめ締結した任意後見契約に基づいて後見人となり、介護施設への入所を手配したケースなどがあります」

 司法書士などの専門家に相談して、足が不自由になったり、認知症を患ったりする前に、必要なサポート体制を整えておくことが重要となる。

※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号

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