投資情報会社・フィスコが、株式市場の7月26日~7月30日の動きを振り返りつつ、8月2日~8月6日の相場見通しを解説する。
* * *
先週の日経平均は往って来いで結局下落。国内が祝日の関係で連休の間、米株式市場では過度な警戒感が後退する動きが継続。急低下していた米長期金利が反発したことで景気減速懸念が和らいだほか、企業の好決算が相次ぎ業績期待も膨らんだ。主要株価指数が週末にかけて4日続伸し史上最高値を更新していた流れを受けて、週明けの日経平均も大幅に続伸、一時は28000円を回復した。しかし、その後戻り待ちの売りに押され上げ幅を大きく縮小する展開となった。
翌27日も、企業の好決算を背景に米国の主要株価指数が連日史上最高値を更新した追い風を受けて一時は28000円を回復するも、前日同様に終値では28000円を維持できなかった。国内の新型コロナウイルスの感染動向や企業決算のほか、当局の規制強化により株価の下落が続く中国株の動向などを見極めたいとの思惑が様子見ムードを強めた。
28日から29日かけてはもみ合いとなった。米国での新型コロナ・デルタ株流行への警戒感や日本国内でも連日コロナ新規感染者数が過去最多を記録していたことが重しとなった。一方、日米ともに一部の企業の好決算などが下支えした。また、日本時間29日、「中国の証券監督当局は自国企業に対し、上場基準を満たしている限り米国での新規株式公開(IPO)を引き続き認める方針」と伝わったことで中国株が持ち直したことも投資家心理の改善に寄与した。なお、28日にかけて開かれていた米連邦公開市場委員会(FOMC)やその後のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見については、従来通り、粘り強く金融緩和を続ける方針や政策変更は時期尚早とのスタンスが維持され無難に通過した。
しかし、週末は再び大きく崩れた。前日の米株市場は堅調だったが、日本国内のコロナ新規感染者数が3日連続で過去最多を更新し初めて1万人を超えた。また、東京都や沖縄県に発令されている緊急事態宣言が8月末まで延長され、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府にも緊急事態宣言が発令される方向と伝わったことで投資家心理が悪化。さらに、月末最終営業日の株安アノマリーが意識されたほか、ファナック<6954>やアンリツ<6754>などの主力株が決算後に大幅に下落したことも重しとなった。
今週の日経平均はもみ合いか。企業決算が本格化しており今週だけで1,100社以上の決算が予定されている。こうした中、連日過去最多を記録する日本国内での新型コロナウイルスの新規感染者動向や、政権求心力の低下など先行き不透明感は依然として継続している。また、新型コロナ・デルタ株の流行は海外でも顕著で、世界経済の回復に対するピークアウト懸念もくすぶったままだ。外部環境に不安定さが伴うなか、今週も決算を受けた個別株物色にとどまり、日経平均など指数が明確に上向くには力不足な状況が続きそうだ。