休業や時短営業、時差出勤にテレワーク──。1年以上あまり続く「コロナ不況」によって、労働環境は大きく様変わりした。それは当然ながら転職事情にも反映される。感染拡大の影響をもろに受けて直接的な影響を受けている業種もあれば、当初はそうでもなかったが、ここにきて影響が出始めている業種もあるだろう。
そんな先行き不透明な経済環境を危惧して転職を希望する人は少なくないようだ。NEWSポストセブン「転職研究室」は、20~60代の男女に対して「コロナ禍(2020年1月~2021年8月)における転職の検討状況」についてのアンケートを行った。
男女6605名から回答を得たところ、2割弱が「転職を検討した」と回答した。年代別では20代と30代が全体の約3割を占め、若年層ほど転職への意欲は高かった。
一般に、コロナ前から若い世代のほうが転職意欲は高い傾向があるが、コロナ後にはどんな変化があるのか。これまで30年間にわたって1万人以上から転職相談を受けてきたキャリアカウンセラーの錦戸かおりさんはこう指摘する。
「特に若年層でキャリアアップについての不満をよく耳にします。研修のリモート化、手探り感たっぷりのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を体験し、自分がこのままで成長できるのかといった不安があり、転職を急ぐ傾向があります」
その少し上の世代である30~40代の心境にも変化があるようだ。錦戸さんが続ける。
「この世代からは会社の経営に対する不安が多く聞かれます。リモートワークへの切り替えができない、これから先細る業界にありながら改革を検討しない経営陣への不満や不安を述べる人が増えています。
たとえば、日本に進出する海外企業の支援業務を手がけるコンサル会社に勤めている方からは、こんな相談がありました。『今は需要がほぼなくなっているのに会社の経営者からは顧客を広げようとする感じが見られない。不安でしようがないので、転職したほうがいいだろうか』というのです」