投資情報会社・フィスコが、株式市場の8月30日~9月3日の動きを振り返りつつ、9月6日~9月10日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は大幅に続伸。週初は、前の週末に開催された米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演で、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内の量的緩和縮小(テーパリング)開始が適切と言及したものの、利上げには程遠いとタカ派色を強めなかったことが安心感を誘い、低金利長期化への期待から日経平均は148.15円高と上昇。
翌8月31日は月末最終営業日の株安アノマリーが意識され、前場こそ上値は重かったものの、後場からムードが一変した。午前の相場が想定以上に底堅く推移していたことや、昼頃に伝わった政局を巡る報道への思惑から、売り方の買い戻しが一気に入ると、大引けまで上げ幅を拡げる展開となり、日経平均は300.25円高と心理的な節目の28000円を超えた。
週後半も日経平均の続伸劇は続いた。衆議院議員選挙が近づくなか大胆な経済対策への期待、総選挙にまつわる株高アノマリーへの思惑などから海外勢の先物主導での買い戻しが断続的に入り、上昇基調を強めた。そのほか、4-6月期法人企業統計で設備投資が5四半期ぶりのプラスとなったことも支援材料となった。9月1~2日の日経平均の上げ幅は450円を超えた。
週末も、前日までの急ピッチの上昇から短期的な過熱感が漂うなかではあったが、日経平均は28500円を上回る水準で底堅くプラス圏での推移を続けた。そして昼頃に菅首相が自民党総裁選に不出馬との報道が伝わると、自民党の求心力回復、新首相による新たな経済対策などへの期待が高まり、後場からはギャップアップでのスタートとなった。日経平均は一気に上げ幅を拡げると29000円を回復。その後も高値圏での推移が続き、584.60円高の29128.11円で週を終えた。
結局、先週、日経平均は5営業日すべて上昇し、上げ幅は1486.97円となった。週足では、13週、26週移動平均線を一気に上抜けた。
今週の日経平均は堅調か。日経平均株価の週間予想レンジは28,700円~29,500円。日本株の上値を抑えてきた不透明感が緩和されてきたことでムードが変わってきている。先週一週間だけで日経平均は1500円近くも大幅に上昇しており、短期的な過熱感は否めないが、週末の先物・オプション取引に係る特別清算指数算出(メジャーSQ)に向け売り方の買い戻しが進めば、一段高もあろう。
週初は先週末に発表される8月米雇用統計の結果をまず消化することとなる。米労働市場の改善傾向を受けて景気回復期待が高まれば、足元の株高ムードの基盤が一層強固なものとなりそうだ。