もはや、いつ誰が新型コロナウイルスに感染してもおかしくない状況。そんななか、感染者が職場などで“コロナハラスメント”を受ける可能性もある。自身がそういった被害にあった場合、どのようにして対抗できるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
先日、新型コロナウイルスに感染し自宅療養をしていました。治癒したため仕事に復帰しましたが、ほかの社員たちからは「感染したら困るから出社しないでほしい」などと言われ、露骨に避けられています。
このままでは気持ちが落ち込み、仕事を続けていく自信がありません。もしコロナ差別を理由に退職することになったら、会社に慰謝料を請求できますか。(東京都・40才・会社員)
【回答】
コロナハラスメントとして最近問題になっている例です。新型コロナウイルスに感染すると、回復しても、長期間にわたって、せき・味覚障害・嗅覚障害・呼吸困難・けん怠感など、何らかの症状が出る例があるとされ、そのような場合には、周囲が不安に感じるかもしれません。
しかし問題は、感染力です。厚労省のQ&Aでは、新型コロナウイルスの感染者がほかの人に感染させる可能性があるのは、発症の2日前から発症後7~10日間程度とされています。
国立感染症研究所の今年2月の発表では、軽症・中等症の場合で、症状消失後に二次感染の報告はありません。発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過という退院基準を満たした症例では、退院前のPCR検査の結果にかかわらず、二次感染のリスクは低いとされています。
回復し、退院基準を満たして職場復帰が認められたあなたが周りに感染させる心配はないと思います。あなたを排斥する職場の同僚は、科学的な事実に基づかない不合理な対応をしていることになります。