企業概要
セガサミーホールディングス(6460)は、2004年にパチンコ・パチスロの最大手サミーと、ゲームソフトやアミューズメント機器で大手のセガが統合して誕生した総合エンターテインメント会社です。
展開する事業は、エンタテインメントコンテンツ事業、遊技機事業、リゾート事業の3つ。柱はエンターテインメント事業で2021年3月期には売上の79%を稼ぎ出しました。また遊戯機は19%、リゾートは2%でした。
一定のファンがいるIP(知的財産)を多く展開している同社。同社はこのIP資産を一つの媒体にとどまらず、パチスロ、パチンコ、コンシューマ向けゲーム、アミューズメント機器、映像や玩具など様々なエンタメ領域に横展開しているのが特徴。
例えば、「ソニック」は、コンシューマーゲーム機をはじめ、スマホゲーム、遊戯機、アミューズメント機器、そして映画にもなっています。映画「ソニック・ザ・ムービー」は2020年全世界興行収入ランキングで第6位を記録しました。この映画を機にNetflix社から新作アニメが配給されることも決定するなど、IP全体として“いまだ”成長を遂げているのは注目に値します。
同社では既存IPに、リマスター、リメイク等を施し、今の市場にマッチしたクオリティでリリースすることで、さらなる市場機会を獲得することに重点を置いています。また豊富なタイトル群を保有していることで、リピート販売が伸びやすいということも業績を堅固なものとしています。
また、このビジネスモデルは採算性の高いダウンロード販売を促進しやすく、海外でのコンテンツ展開を容易にさせていると考えられます。主力のコンシューマー分野の売上は80%が海外での売上、53%がダウンロードによる販売となっています。物理的な制約が無くなることで、長期間に渡ってタイトルが売れる環境となったのも追い風となっている模様。
注目ポイント
同社の2021年3月期における海外比率は31%と、5年前の10%から、大きく成長しています。
ゲーム市場は、スマホの普及、クラウドゲームやサブスクリプション型ゲームの登場などに加速され、定期的にゲームをするユーザーは現在、30億人規模に達していると推定されます。
世界ゲームコンテンツ市場は拡大を続けており、2024年には24兆円に達すると予想されています(2015年からCAGRは10%)。特に成長が加速しているのはアジア地域で、2015年に3兆円だった市場は、2020年には7兆円に達しました。5年間で倍増する市場はそうそうありません。
こうした勢いある事業環境の中、豊富なIP資産を保有し、それらをリメイク、リマスター、リピートと、有効活用できる同社には勝算があると思います。すでに一定のファンが付いている既存IPがあることで一定の収益をあげられる上、それを横展開やグローバル展開をすることで新たな収益源を作ることができるのはかなりのアドバンテージです。
収益基盤は堅固で、財務面もしっかりしています。520億円の借入がありますが、手元に1102億円の現金を保有しており、これを差し引くと実質無借金経営。自己資本比率68.5%、流動比率3.67倍と非常に健全な内容となっています。この強固な財務基盤は安定的な開発投資の源になっており、中期経営計画では、2025年度までに2500億円の成長投資を予定するなど事業投資を積極化する方針です。
株主還元にも前向きです。配当はこれまで長らく40円で固定されてきましたが(2021/3期は30円に減配)、配当方針はDOE(一株当たり配当金÷純資産)3%以上を目途とした連動性に変更。併せて業績動向に合わせた自社株買いを行う方針としました。総還元性向50%を目途とするとしています。今期2022年3月期は前期30円だった配当を40円に回復し、また6月までに上限300億円で自己株買いを実施しています。
【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。