「経済状況が悪化しているいま、わずかな貯金と年金では老後が不安。働けるうちは働こう。それも、自分のスキルを生かした仕事で稼ぎたい──と考え、中には、“プチ起業”する主婦も増えています」
こう話すのは、お金の専門家・菅井敏之さんだ。コロナ禍のいま、飲食店などでのパートはリストラの懸念がある。どこかに就職しようと考えても、資格や職業経験がないため、受け入れてもらえないかもと、二の足を踏む主婦も多い。しかし、主婦である、ということがすでにスキルの宝庫であり、それを生かした仕事は多数あるのだ。
「私がパートを始めたのは、2人の子供が小学校に入ってから。もともと人とかかわるのが好きだったので外に出たくて、衣類販売のパートを半日くらいの単位で勤めるようになりました」
そう語るのは、家事代行などで働く笹野明子さん(仮名・73才)だ。主婦業のかたわら衣類販売のパートを約6年続け、子供の中学入学を機に、45才で看護助手としてフルタイムで働くようになった。
「転職のきっかけは、単に病院に興味があったから(笑い)。それに、看護助手なら資格が不要だったんです。とはいえ、途中で旧ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)の資格を取り、おむつ交換から食事介助までしてきました」
興味があることを仕事にしてきた笹野さん。約17年病院に勤めたが、2011年に東日本大震災が起こり、福島から東京に避難せざるを得なくなった。そのため、看護助手の仕事は一時休止状態に。
「このときすでに62才。避難先でも仕事をしないと体力が落ちるので、できることはないかと探していました。私はじっとしていることが苦手で人が好き。家で普段やっていることを生かせばいいのだからと、家事代行の仕事に目をつけました」