固定費を抑えたいなら、効果が大きいのは住居費の削減だろう。一般的に住宅ローン返済でも家賃支払いでも、手取りの2~3割以内に収めることが理想とされている。実際、家賃の場合、「3割程度」が最多の40%で、「2割程度」が23.25%という調査結果もあり、家賃をなるべく抑えて暮らしたいという人が多数派であるようだ(ITツール比較サイト「STRATE」が2021年5月に実施した『賃貸物件にお住まいの方を対象とした家賃に関するアンケート』より)。
その一方で、住まいにこだわりを持ち、収入の3割をはるかに超えるような家賃の物件で暮らす人もいる。住居費の比率が高いとその分、生活費に回せるお金が少なくなるが、彼ら/彼女たちにはどんな事情があって、どのような価値観を持っているのか。手取り収入に対する家賃割合が高い人たちに話を聞いた。
“適正家賃”だと妥協すべきところが多すぎる
「家にいることが“趣味”なんです。家賃を多く払うのは“趣味代”と同じ」というのは、メーカーに勤務する20代女性・Aさんだ。都内23区で手取り約18万円、家賃8万円台のマンションに住んでいる。
「正直、私の収入だと6万円台くらいが適正だと言われます。でも、都内で6万円台の家賃だと、立地や築年数など、妥協しなくてはいけないところが多すぎて……。それで毎月の家賃を抑えられたとしても、部屋が気に入らなくて引っ越すようなら、結局お金がかかってしまうと思ったので、築浅でキレイで、かつ職場にも都心にも出やすい今のマンションに決めました」(Aさん)
“適正家賃”から約2万円超えているが、Aさんはとにかく暮らしやすさに重点を置いているため、今の暮らしに満足しているという。
「仕事が終わったらすぐに家に帰りたい。その点、新しいマンションって、内装もオシャレだし、部屋にずっといたくなるというか、帰るのが楽しみになれます。また、部屋にいる時は、つくづくキッチンやお風呂といった設備に妥協しなくて良かったと実感します。暮らしやすさを重視するなら、家具や家電も大事ですが、水回りなんかは簡単には変えられませんからね。どんなインテリアにしようか考えている時間も好きです」(Aさん)
では、Aさんのように“収入の半分ほどが家賃”という状況をほかの人にもすすめることはできるのか。
「私は自分にとって心地良い空間に重きを置きたいタイプ。家で過ごす時間が自分にとって一番大事で、交際費はほとんどかからないし、服や化粧品も基本プチプラ。だからこそ家賃にお金をかけてもいいかなと思えます。でも、それより楽しく感じるような趣味など、ほかに譲れないことがあるなら、もちろん手取りの2~3割に抑えた方が絶対いいでしょうし、お金のことを考えるのなら、実家に住むのが一番よいのでは」(Aさん)