中国経済が好調だ。7-9月期の成長率は6.7%で、第1四半期、第2四半期と同じであったが、全人代で決めた目標である通年で6.5%以上といった計画はほぼ達成可能となった。
表面的な成長度合いは横這いに過ぎないが、成長の質といった観点からは大きな変化が見みられる。
第一に、供給側改革が進展している。1-9月期の石炭生産量は前年同期比10.5%減となった。また、8月末時点における一定規模以上工業企業の完成品在庫は1.6%減少しており、4月以来、5か月連続で低下している。資産負債比率は56.4%で前年同期と比べ、0.6ポイント低下している。そのほか、1-9月期の環境関連、水利、農林牧魚業における固定資産投資はそれぞれ43.4%、20.5%、20.1%伸びており、全体の伸び率である8.2%を大きく超えている。
“三去一降一補(生産能力、在庫、レバレッジの削減、コストダウン、経済の弱点部分の補強)”といった基本任務が効果を表している。
生産設備の淘汰、在庫、事業規模の圧縮、コストダウンなどは、表面的には成長に繋がらない。また、環境関連、水利、農業関連などに対するインフラ投資はそれ自体、波及効果の小さい投資である。しかし、これらは、中・高成長を維持し、庶民の生活の質を高める上で、必要不可欠なことである。表に現れにくい部分で中国経済は着実に改善に向かっている。