「このままでは日本の財政は破綻する!」──財務省とメディアはそう煽り、国民は「それなら増税もやむなしか」と思い込まされている。しかし、経済評論家の上念司氏は、日本は「借金大国」どころか、世界一の「金持ち国」だと解説する。
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2011年の先進主要国の金融資産を比較すると、日本は5兆ドルに迫り、2位のアメリカとも約2兆ドルもの開きがある。日本の資産のうち金融資産は対GDP比で80%超なのに対し、アメリカは20%ほど。高くてもカナダの約50%に留まる。
政府だけでなく国民の資産も増加傾向にある。現金・預貯金をはじめ、有価証券などの個人の金融資産の合計も1700兆円を突破。4年間で200兆円も増加している。これは2012年のアベノミクス以降の株価上昇と連動していることが大きい。政府と国民の「金持ち」度はどんどん増している。
日本政府の資産には、もうひとつの特徴がある。政府・企業・個人が海外に持つ資産は、海外の政府・企業・個人が日本に持つ資産(負債)と差し引いても圧倒的に多いことだ(対外純資産と呼ぶ)。2015年末の統計では対外資産948兆円に対し対外負債609兆円、対外純資産は339兆円。要するに日本は世界に対する“金貸し国”なのだ。