11月8日(日本時間9日)に投開票された米国の大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン氏を下して勝利を収めた。下馬評ではクリントン氏有利と見られていただけに、株式市場・為替市場ともに敏感に反応。同日の日経平均終値は前日比919円安の1万6251円まで下落、米ドル/円も一時的に1ドル=101円台に突入するなど急速な円高が進んだ。
6月に実施された英国のEU離脱の国民投票で「ブレグジット」が決まった瞬間も、リスク回避の円高が進み、それに伴い株式市場も大きく下落したが、その後、落ち着きを取り戻した。はたしてブレグジット・ショックのとき同様、今回の「トランプ・ショック」も一時的なものに終わるのだろうか。市場では「こんなものでは終わらない」という悲観的な声も出ている。
それは、トランプ氏が日本の経済政策について言及したこれまでの発言を見てもわかる。安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁が推し進めるアベノミクスについて「円の価値を徹底的に下げて、米国経済を破壊している」と語り、安倍首相のことも「米国経済にとっての殺人者」と断罪している。市場関係者はいう。
「トランプ氏の考え方は米国ファースト。米国経済を活性化するためには、ドル安によって輸出力を高めることが大切だと考えているため、為替を円安誘導しているとする日本の異次元金融緩和を猛批判しています」