円相場は年初の1ドル=115円台から急速に円安が進み、10月下旬には約32年ぶりに1ドル=150円を突破した。物価も上昇するなか、賃金はまったく上がらない状況だ。一方、海外では世界的な人手不足で賃金が上昇しており、“海外で出稼ぎをした方が儲かる”世の中になっている。海外に出稼ぎしている人々は、どのように働いているのか。出稼ぎ先としてアメリカと並んで人気が高い、カナダ在住の日本人たちに現状を聞いた。
「日本ではいまより稼げる仕事が見つからない」
「レストランでこれだけ稼げると、朝から晩まで営業で働いて月20万円だった頃がバカバカしくなります」
そう語るのは、横山秀樹さん(30才・仮名)だ。
日本で営業職の会社員を4年経験し、英語や専門分野を学びながら有給インターンができる「Co-op留学」を利用してカナダに来た。
「日本食レストランで週4回サーバーをし、同じレストランで週2回マーケターの仕事をしています。チップ込みの月収は55万円ほど。なまり英語に慣れているカナダ人は嫌な顔をせず、ぼくの言うことを理解しようとしてくれます。帰国してもいまより稼げる仕事が見つかるとは思えないので、永住権を取得したいです」(横山さん)
アジア人の器用さが求められて売れっ子ネイリストに
バンクーバーのネイルショップで働く北見夏樹さん(26才・仮名)もカナダの生活に満足している。
「アジア人は手先が器用なのでネイルショップの求人が多く、現在の給与は月給3200カナダドル(約34万円)で、日本の給料の1.5倍ほどに。ニューヨークやロスよりは安いかもしれないけど、カナダの家賃はアメリカの大都市の3分の2程度で物価も安く、治安もいい。素朴な人に囲まれてのびのびした生活を送りたい人にはおすすめです」