厚生労働省の統計によると、2020年の生活保護の申請件数は11年ぶりに増加した。2021年には23万件近くに増え、直近の統計(2022年10月分)でも6か月連続で前年同月を上回るほど、右肩上がりとなっている。受給者数はいまや全国で約202万人(約164万世帯)にのぼる。長引くコロナ禍に物価高による生活苦が追い打ちをかけていることは、想像に難くない。
そんな中、注目を集める人物がいる。YouTubeショートのほかTikTokなどの動画SNSで知られる「生活保護おじさん」こと、佐々木大志郎さんだ。生活困窮者の支援を行う「つくろい東京ファンド」新規事業部長の佐々木さんは、2022年10月から生活保護に関する動画投稿を開始した。
「2020年、コロナ禍で生活困窮者が増え始めた頃は、相談者は主に30代、40代が多かった。ところが、最近は10代、20代からの相談も増えて、生活困窮者の“低年齢化”が進んでいる印象です。SNSを通じて、いまは毎日、1~5件ほどは相談が来ます」(佐々木さん・以下同)
寄せられる相談内容はさまざまで、中には「手持ちが数百円しかない」「家賃が払えず申し訳ないので家を解約してしまい、いま路上にいます」といった緊急性の高いものも少なくないという。
「自分で賃貸契約を結び、毎日同じ家に帰って家賃を納めて生活することは、ある種の“超能力”と言えるほどの強み。生活保護を申請する際“自分には生活能力がある”と示す材料になります。手続きのしやすさや安全面を考えても、窮しているときに家を出るのはやめてほしい。
最低でも3日ほど過ごせるだけのお金があれば、何とか対応することはできるので、“ヤバいかも”と思ったらすぐに生活保護の相談をしてください。ギリギリになってからでは遅いこともあります」