中国では現在、インフルエンザが流行している。北京市疾病コントロールセンターが発表した2月13~19日におけるデータによれば、この間の北京市におけるインフルエンザ感染者数は新型コロナウイルスの感染者数を上回っている。
中国本土のマスコミ報道によれば、2月中旬以降、北京、天津、上海、杭州、寧波、武漢、広州など、ほとんどの大都市においてインフルエンザが流行しており、学級閉鎖、休園に追い込まれる小中学校、幼稚園が急増中だ。
国家流感センターが2月23日に発表した最新の「流感監測週報」によれば、ほとんどがA型インフルエンザで、全体の99.2%(B型は0.8%)を占めている。
人民日報、中国網、中国文化報道網ほか多数のマスコミ報道を参考に、その状況を見てみよう。日中友好医院呼吸科の陳主任医師によれば、鼻水、くしゃみ、のどの痛み、発熱などがA型インフルエンザの主な症状で、感染の初期症状は新型コロナとよく似ているという。もっとも、肺炎などの重大な二次感染(抵抗力が弱まっているところへ別のウイルスなどに重ねて感染すること)を引き起こす可能性はオミクロン株よりもさらに低く、また、インフルエンザの死亡率は通常1%以下である。発熱後48時間以内にタミフルを服用すれば、治療効果は大きいそうだ。
気になるのは新型コロナウイルスとの二重感染の有無、ゼロコロナ政策の廃止とインフルエンザ流行との関係だ。
まず前者であるが、中国疾病センターが発表した「中国流感ワクチン予防接種技術指南(2022-2023)」によれば、「世界全体で依然として新型コロナウイルスが流行する中で、冬から春先にかけて、新型コロナウイルスと流感などの上気道伝染病との二重感染が起こる可能性がある」としている。ただ、「理論上はそうだが、実際に二重感染している患者は少ない」と陳主任医師は発言している。
また後者については、これまでであれば、外出を控え、外出しなければならない時にはマスクを着用し、帰宅後は手洗い、アルコール消毒を徹底させてきたが、そうした行動を取る人々は春節以降、大きく減っている。この3年間、新型コロナウイルスが流行していたため、ウイルス干渉や、厳重な感染対策の効果によって、インフルエンザの流行は抑えられてきた。インフルエンザに対する免疫効果が集団として弱まっていたことも災いして、今回のインフルエンザ流行が起きたとする見方もある。