賢く使えば料金は劇的に下がる格安SIMや格安スマホ。とはいえ、これらは誰にでも勧められるものでもない。デメリットも多くあるので、乗り換えを決める前によく吟味する必要がある。
まず、格安SIM事業者(MVNO)は大手のような独自のメールアドレスの提供がないところが多い。
Gメールなどの無料アドレスを取得すればメールの送受信は可能だが、大手のキャリアメールを使う人は迷惑メール対策としてキャリアメール以外の発信元をブロックしている人もいるため、格安SIMに乗り換えると友人知人にメールが送れない事態も頻発する。その都度相手にブロック解除を頼むのは煩雑な作業だ。
また、通信速度についても、格安SIMは大手キャリアと比較して遅い傾向がある。メールやSNSをチェックする程度のライトユーザーならさほど不便は感じないだろうが、動画や重いコンテンツを頻繁に利用する人はイライラさせられることがあるかもしれない。
人によっては大きなハードルになり得るのが、サポートの弱さだ。
一般的にMVNOでは初期設定のほとんどをユーザー自身がしなくてはならない。まず、乗り換え元のキャリアと乗り換え先のMVNOが使う回線が異なる場合などにはSIMロック解除の手続きが必要になる場合がある。
さらに、自分で端末のSIMカードを差し替えて、APN設定(回線と端末の紐づけ作業)も必要だ。これらの手続きや設定は人によっては難しく、うまく進められずにつまずく人も少なくない。
こうした格安SIMの弱点を知らずに契約してトラブルとなるケースはMVNOのシェア拡大に伴い増加しており、国民生活センターの格安SIMに関する2016年度の相談件数は、前年の2.8倍に達した。