「ミラノ風ドリア」をはじめ、低価格でイタリアンを楽しめるファミリーレストランとして知られる「サイゼリヤ」。若者を中心に人気が続いているかと思いきや、“客離れ”が進んでいることが明らかになり、波紋を呼んでいる。
決算資料(2018年8月期)によると、国内既存店の客数は2017年9月から前年割れが続き、苦境に立たされている状況は明らかだ。ランチやディナーはもちろん、ワインやおつまみメニューも豊富なことから居酒屋としても利用でき、その用途は広いはずなのに、なぜ客離れが進行しているのか。サイゼリヤから足が遠のくようになったという、若い世代の率直な意見を聞いた。
まず、キャッシュレス対応の遅れを指摘する声があがった。都内の大学院に通うA君(23歳)は言う。
「今僕は、どのお店でも決済は現金ではなく、スマホの電子決済で済ませています。小銭がジャラジャラすることもないし、お金が足りないということもなく、すごく便利。だから自然とコンビニや外食の選択基準は、電子決済できるかという点になる。サイゼリヤも、以前は時々利用していましたが、いまは電子決済ができないので選択肢にありません」
実はサイゼリヤは、電子マネー決済はおろか、クレジットカード決済にも基本的に未対応(ショッピングセンター内など、一部店舗で使えるところもある)。競合のガストやデニーズ、ロイヤルホストといった主要ファミリーレストランは対応済みであるにも関わらず、“現金主義”を頑なに貫いているのだ。