住まい・不動産

不動産オーナーに受難の時代 民法改正で賃貸の保証会社利用が増加、家賃滞納時の負担が増える結果に

賃貸物件を契約する際、連帯保証人でなく保証会社をつけるケースが増えている(イメージ)

賃貸物件を契約する際、連帯保証人でなく保証会社をつけるケースが増えている(イメージ)

 卒業、入学、就職など、さまざまな転機が訪れる春は、引っ越しをする人も多い。新たに賃貸物件に入居する際は、近隣住民や大家との関係なども含め、入居者(賃借人)にとっては不安も多い。しかし、その一方で大家(物件のオーナー)もまたつらい事情を抱えているのだ。

 というのも、2020年4月に施行された改正民法で、賃貸物件を契約するとき、連帯保証人ではなく、保証会社をつけることがほとんどになったのだ。家賃債務保証会社フォーシーズ代表・丸山輝さんが説明する。

「改正以前は、連帯保証人の支払い義務として、具体的な金額を明示していませんでした。しかし、改正後は“100万円”など、支払い義務が生じる際の最高額が契約書に明記されることに。これにより個人の保証人のなり手がいなくなり、保証会社が代わるようになったのです」(丸山さん・以下同)

 貸借人が家賃を滞納すると、法的手続きに移行することもあるという。

「そうなると、裁判所の判決後、執行官の立ち合いのもとで、立ち退きの強制執行がなされます。ここまでに滞納から10か月~1年ほどかかります」

 問題は、この期間の家賃は払われないことが多い点だ。

「結局、大家が引っ越し代を払い、数か月で出ていってもらうケースが多いようです。給料の差し押さえも可能ですが、手間も時間もかかりますから」

 大家の多くは借金して物件を手に入れている。滞納されると、大家も返済が滞るため、損害が大きいのだ。

【プロフィール】
家賃債務保証会社フォーシーズ代表・丸山輝さん/自治体と連携して、生活弱者への支援事業も行う。著書に『家主破綻』(幻冬舎)がある

※女性セブン2023年3月16日号

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