春の引っ越しシーズンを控えた今、自分の理想に近い物件を求めて奔走中という人もいるかもしれない。憧れは人それぞれ違うものだが、集合住宅でありながら、2フロアの居住空間に内階段がある「メゾネット」も根強い人気を誇る物件の一つだ。デザイン性が高く、素敵な生活をイメージしがちだが、実際に住んでみて後悔した人たちもいるようだ。メゾネット物件に住んだことのある人たちに、住む前は想像していなかったデメリットを聞いた。
仕事場と寝室を分けられると喜んだのも束の間
IT企業に勤める30代男性・Aさんは、コロナ禍で在宅勤務が続く中、仕事場と寝室のスペースを分けたい気持ちが強まり、引っ越しを決めた。
「家での仕事を少しでも快適にするために、PCやモニター、デスクや椅子など環境を整備してきました。でも、いくら機器を揃えても、デスクの近くにベッドがあるような環境は変わらない。一人暮らし向けのマンションでは限界があると痛感したんです」(Aさん)
当初は少し広い部屋を借りようと考えていたAさんだが、不動産屋に紹介されたメゾネットタイプの物件に惹かれた。
「1階はキッチンとワークスペース。2階は居室スペースというように、完全に分離できるのは魅力的でした。同じ面積の通常のマンションより家賃が少し安かったことも決め手でした」(Aさん)
引っ越しを機に冷蔵庫や洗濯機などといった家電も買い替えようと思ったAさんは、そこでメゾネット物件ならではのデメリットに直面することになった。
「家電量販店で冷蔵庫や洗濯機を購入すると、担当者から搬入の際は内階段があると別途料金がかかると説明されました。カーブの有無でも請求額も変わるそうです。我が家はカーブがない階段だったので、その点は良かったですが……。冷蔵庫は1階なのでいいとしても、洗濯機を2階に設置する際に、階段の幅によっては搬入が難しいものもあるようでした。結局、希望していた洗濯機は買えず、妥協することにしました」(Aさん)
引っ越し早々、メゾネット物件の“洗礼”を受けたAさんだったが、入居後に最大のピンチが襲うことになった。
「もともと腰痛持ちでしたが、ある時、2階の寝室で腰を痛めてしまいした。1階にある冷蔵庫にある氷枕を取りに行くのもトイレに行くにも、階段を降りないといけないという地獄を見ました。一人暮らしで弱った時、メゾネットはつらいのかもしれません……」(Aさん)