一方、週半ばにも大きな材料がある。日本時間8日の午前0時頃に、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が米上院銀行委員会公聴会で証言を行う予定だ。一連の強い物価指標の発表以降では初めての発言の場となり、注目される。米10年債利回りは先週、昨年11月以来となる4%台に乗せた。一方で、米アトランタ連銀のボスティック総裁が今夏の利上げ停止の可能性を示唆したため、株式市場は金利上昇が続く中でも底堅く推移している。しかし、同総裁は政策金利を5.00-5.25%に引き上げた後は、2024年もしばらくその水準で維持する必要性についても言及している。全体として見ればハト派的とはいえない中、株式市場が都合よく解釈している感は否めない。このため、パウエル議長の発言次第で米金利が一段と上昇した場合には、株式市場は調整を強いられると考える。
時間軸が前に戻るが、5日から中国で全国人民代表大会が開催される。先週に発表された中国2月製造業購買担当者景気指数(PMI)が民間版及び政府版ともに市場予想を上振れて改善したことで同国経済の回復期待が高まっている。また、日本政府は新型コロナ対策として中国からの渡航者を対象に義務付けてきた水際対策の緩和を3月1日から実施。これらの背景から中国関連株の強い動きが目立っている。
予想以上に速いペースでの回復を受けて、逆に全人代での追加景気対策への期待が後退したとの指摘もあるが、昨年、経済成長率目標を大きく未達となった経緯や若年層を中心とした高い民間失業率が続いていることも踏まえると、今年は中国政府が経済成長を狙う動機を有しているとも考えられ、景気対策への期待は根強いとみる。全人代で追加景気対策が打ち出されれば、関連株への物色が強まりそうだ。9日には2月工作機械受注の発表もあるため、合わせてFA(Factory Automation)関連株などの手掛かり材料となる可能性があろう。
なお、今週は6日に米1月製造業受注、7日に中国2月貿易収支、パウエルFRB議長上院議会証言、8日に2月景気ウォッチャー調査、米2月ADP全米雇用統計、米1月貿易収支、米10年国債入札、9日に日銀金融政策決定会合(-10日)、10-12月国内総生産(GDP)改定値、2月工作機械受注、2月都心オフィス空室率、中国2月消費者物価指数、10日に黒田日銀総裁会見、メジャーSQ、2月企業物価指数、米2月雇用統計、などが予定されている。