たとえば、子2人が法定相続人という場合、それぞれ4分の1ずつの遺留分が認められます。ということは、片方が4分の3以上の財産を相続したら、ほかの相続人の求めに応じて財産を渡す必要が出てきます。
そのため、長男と次男の2人が相続人となる家庭であれば、亡くなった被相続人が「全財産の1億円を長男に残す」と遺言を残したとしても、遺留分として最低2500万円は次男に渡さなくてはいけないということです。
ここで登場するのが、死亡保険です。実は、遺留分は「被相続人が死亡した時点の相続財産」の金額を基準に計算されます。
そのため、生命保険の金額は遺留分の計算には基本的に入りません。つまり、生命保険を使えば、「より多くの現金を渡したい」と思う家族に、きちんとお金を渡せるようになるということです。日本で、きちんと遺言を残すケースは少ないといわれています。たしかに、富裕層の相続税申告を見ても、遺言があるケースは少数派でした。
この背景には、物事を曖昧にしておきたい日本人特有のメンタリティがあるように感じます。誰か特定の人を選んで財産を残すのではなく、できるだけ平等に機会を与えたいという意識があるのではないでしょうか。