コロナ禍の水際規制が緩和され、日本への韓国人観光客が急増する一方、多くの日本人が韓国を訪れている。今年1月に韓国を訪れた外国人観光客のうち、日本からは約6万6900人が訪れ、主要国で最多だった。燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の高騰や円安の影響などで欧米への旅行を躊躇する人が多いなか、気軽に渡航できる韓国旅行の人気が高まっているようだ。だが、コロナ前とは違う経済事情に世知辛さを感じる人もいるようだ。
韓国グルメ、美容整形、K-POPアイドルや韓流ドラマの聖地巡りなど、目的は様々だが、いま、ソウルの街を歩けばそこらに日本人の姿が確認できる。今年2月末からソウルに3泊滞在した会社員女性・Aさん(41)はこう語る。
「昨年11月にも渡韓しましたが、その時は美容クリニックが多い江南エリアは日本人も多かったけれど、街を歩いていて日本人を見かけることはほとんどなく、金浦空港は行きも帰りもガラガラ。ところが今回は、羽田空港では朝7時前にもかかわらずチェックインカウンターには行列ができていました。金浦空港も到着ロビーに出ると出迎えの人や旅行者で溢れていて、同じ便に韓国の有名人が乗っていたようで、本格的な望遠レンズをつけたカメラを持った“出待ち”も押し寄せていました。
コロナの影響でシャッターだらけになったという繁華街の明洞にも少し活気が戻っていて、日本人の女の子たちがコスメショップでショッピング、観光客に人気の『明洞餃子』も正午前には行列ができていました。南大門の市場を歩くと『カンペキなニセモノあるよ』と日本語で声をかけられる、あの懐かしい光景が戻っていましたね」
免税店で買うより日本で買ったほうが安い
円安の影響を受ける日本人にとってウォン安傾向が続く韓国は、他の国と比べて地理的にも費用面でも魅力的な渡航先であったはずだった。ところが、実際に旅行してみると、もはや過去の「安くてお得」とは程遠くなっていたとAさんは言う。
「ソウルに住む友人はタクシー料金やチャミスル(焼酎)の値段が上がったと嘆いていましたが、そこはまだ日本よりはお得だなと感じました。驚いたのがショッピングです。欧米の有名ブランドの財布や香水なら韓国の免税店は安いだろうと思っていましたが、ネットで日本での販売価格を検索すると日本で買うほうが安かった。韓国の化粧品も、日本のネットのセールで買ったほうが安い。
せっかくコロナが収束してきて海外に行けるようになったのに、韓国でこんなに“爆買い”できなかったのは初めてです。そういう人が増えたからか、免税店やブランドショップの店員さんも、心なしか日本人が来ても“どうせ買わないでしょ”という表情になっていたような……。
ちなみに、日本からソウルへの往復の航空券は日系の航空会社を選んだのもあって11月も2月も約10万円。欧米までの値段を考えるとマシですが、決して安い旅行ではなくなりましたね」