3回接種していないと現地で陰性証明書の発行が必要
韓国政府は昨年8月からビザ無しの渡航も再開し、入国後のPCR検査義務もなくなったため、ワクチン3回接種をしていない日本人にとっても渡航しやすいと人気がある。ただし、ワクチンの接種証明書(3回)がない場合は、日本に入国(帰国)する際には出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書が必要になる。ワクチンを3回接種していない人(帰国まで72時間以上ある場合)は現地滞在中に日本入国の要件を満たした陰性証明書を発行する医療機関で検査することになるため、ネットにはそうした現地での検査情報が多くある。
前出のAさんも3回接種の証明書がなく、現地で陰性証明書を発行する必要があった。Aさんはこう続ける。
「旅行代理店などがそうした陰性証明書を発行できる検査の予約を代行するサービスをやっていますが、実際はそのサービスにお金を使わなくても、基本的に予約なし、韓国語ができなくてもそうした医療機関には既に多くの日本人が来ていて慣れているのでなんとかなります。
11月に渡韓した際には、Sという検査専用の医療機関でPCR検査をしました。費用はソウルでも安値だった65000ウォン(約6800円)。予約なしで、サイトに必要事項を入力してパスポートを提示し、10分ほどで終了。数時間後にメールで陰性証明書が送られてきました。日本に帰国する際には、航空会社のカウンターで陰性証明書をチェックされ、日本入国時の検疫では予め陰性証明書などを登録しておいた『Visit Japan Web』の画面を大勢いるスタッフにチラっと見せるだけであっけなく終わりました」
昨日まで30000ウォンだったのに…
3か月後に再び渡韓する時には、さらに日本人旅行者たちがSNSなどで発信するクリニックの情報や体験談が溢れていた。Aさんはそれらを参考に、ソウルで「最安値」と話題になっていたLというクリニックで検査することにした。中心街の駅から徒歩3分ほどでアクセスがよく、その場で30分ほど待てば陰性証明書を受け取ることができ、しかも費用が30000ウォン(約3100円)とどこよりも安かったのだ。
「日本人観光客のSNSで話題になり、待合室の外に列ができるほど日本人が殺到していたようです。ただ、検査専用ではなく一般のクリニックなので、お昼休憩があったり、ネットに記載されている診療時間に行っても既に締め切られていたといった情報もあったりしたので、私も行く直前までネット情報を注視していました。すると検査方法も鼻腔か口か、その両方なのか、行った人の話がバラバラで、クリニックの対応が二転三転していることがわかりました。
さらに、PCR法ではなくLAMP法だったからなのか、日本語で〈日本帰国時の入国検査要件は満たしておりますが、検査後72時間以内の診断書のみ有効です〉とあった張り紙の〈72時間〉の部分が手書きで〈48時間〉に修正されているとの情報が挙がったため、慌てて検査するスケジュールを変更しました。
そして日本に帰国する前日にいざ行こうと再びネットの書き込みをチェックすると、今度は前日の午後から30000ウォンだった料金がなぜか50000ウォン(約5200円)に値上がりしているとの報告が(笑)。それでも30分ほどで陰性証明書が手に入るほうが助かるので、私はそのままLクリニックで検査して、確かに値上がりしていましたが50000ウォンを払いました。
待合室には10人ほどいましたが、すべて陰性証明書を求める日本人。後から来た女子3人組は『現金払いのみ』を知らなかったようで受付で困っていましたが、『カード払いなら55000ウォン(約5700円)になる』と説明を受けて、『時間もないし、多めに払って済むなら……』とそうしていました。日本からの観光客で陰性証明書を必要とする人は多く需要があるので、今後は現地の検査料金も値上がりしてしまうかもしれませんね」(Aさん)
日本人旅行客が急増したことで“今がかき入れ時”とばかりに、日本人が多く利用するクリニックの検査費用も便乗値上げされているフシがうかがえる。ショッピングといい、検査費用といい、コロナ禍を経て、かつての“安い韓国”の姿は失われつつあるのかもしれない。(了)