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都市部の人は大地震にどう備えるか? 震災時の仙台の帰宅困難者問題から学ぶ「在宅避難を想定した備蓄」

折腹久直さんの防災グッズは「災害後に必要となるもの」が中心だ。衛生用品、バッテリー、手袋、非常食や飴、簡易トイレやブランケット、保存袋、ソーイングセットは、ほぼ100円ショップで購入。「職場にも同じセットを置いています」(折腹さん)

折腹久直さんの防災グッズは「災害後に必要となるもの」が中心だ。衛生用品、バッテリー、手袋、非常食や飴、簡易トイレやブランケット、保存袋、ソーイングセットは、ほぼ100円ショップで購入。「職場にも同じセットを置いています」(折腹さん)

職場が安全な場所ならとどまってほしい

 家屋の損壊や宅地崩落などで生活の場を失った人、病気の人やお年寄りなど、本当に避難所を必要とする人の避難に支障をきたしてしまったことの反省から、現在は、近隣の商業施設やホテルに協力を仰ぎ、帰宅困難者が一時滞在できる体制が整えられたエリアが設けられている。

「とはいえ、職場が安全な場所ならば、しばらくそこにとどまっていただきたいのです。大地震後には家や家族が心配で、すぐに帰りたくなるかもしれません。しかし一斉に帰宅を始めてしまうと緊急車両の通行を妨げ、さらには帰宅途中のみなさん自身に危険が及ぶ可能性もあります。

 1万人以上が殺到した仙台駅に限らず、地震発生後は市役所前や、私のいた消防署前の歩道にも、帰宅困難者や徒歩帰宅者があふれていました。消防署の1階を避難場所に開放しましたが、いま思えば、韓国の梨泰院で起きた雑踏事故すら起こり得る状況でした。

 それから、避難所が想定を超える人であふれた要因は、帰宅困難者だけではありません。後日行ったアンケート調査によると、避難者の半数以上は“ライフラインの停止”を避難した理由に挙げています。もちろん、避難を要する場合もありますが、日頃から『地震が起きたらライフラインは止まる』という意識を持ち、在宅避難を想定した備えをしていただきたいですね」

 在宅避難のための備蓄は、もはや社会的責任ともいえる。

「私自身、自宅の地震対策を施していなかったという反省を踏まえ、安全な家づくりも必須だと思っています。また、当時、事務職だった私は、署内に泊まり込みの備えをしていませんでした。そのため、数日間は着替えや歯磨きさえできず、本当に困りました。通勤しているかたは、職場にも2~3日滞在できる程度の生活必需品(食料や着替え、洗面道具など)を備えておくことをおすすめします」

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