投資情報会社・フィスコが、株式市場の3月6日~3月10日の動きを振り返りつつ、3月13日~3月17日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で216.5円高(+0.77%)と続伸。一方、週足のローソク足は長い上ヒゲを伴った陰線を形成し、上昇一服感を示唆している。
先週の日経平均は週後半まで強い流れが続いたが、週末は一転して大幅に反落した。週初は米長期金利の低下を好感した前週の米ハイテク株高の流れを引き継いで大幅に続伸して始まった。5日に開幕した中国の全国人民代表大会を手掛かりに中国景気の回復期待も買い戻しを誘発した。その後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言でのタカ派発言など悪材料もあったが、為替の円安進行や週末の3月限の株価指数先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)に向けた買い戻しなどを背景に強含みが続いた。しかし、週末は大幅反落。前日の米国市場で銀行株の急落など信用不安が台頭したことが契機となった。メジャーSQで需給転換が意識される中、東京市場でもリスク回避の売りが膨らみ、株価は大きく下落した。
今週の東京株式市場は弱含みか。日経平均が急伸した3日から東京市場の想定以上の強さが続いていたが、先週末の3月限の株価指数先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)を境に潮目が変化してきたもよう。一般的にメジャーSQを境に需給が転換することが多いが、奇しくも、このメジャーSQ前日に、米国市場では銀行の信用不安という新たなリスクが台頭し、米国株は大幅下落となった。
米シリコンバレーの新興企業を中心に商業銀行サービスを展開するSVBファイナンシャル・グループの株価は9日、60.4%安と上場来最大の急落となった。証券ポートフォリオの損失などを受けて資本増強のための措置を講じたことが契機となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年から急速に金融引き締めを進める中、いずれは企業のデフォルト(債務不履行)が増加してくるだろうとは想定されていたが、今回それが表面化した。市場の一部では今回の一件がシステミックリスクに繋がり得る炭鉱のカナリアなのかとも警戒されており、今後、同様の動きがどれだけ増えてくるのか注目される。米株式市場では9日、S&P500種株価指数をはじめ主要株価3指数が揃って200日移動平均線を終値で割り込んだ。今後は商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの売りが加速する可能性もあろう。
仮に当該案件が大きな問題に繋がらなかったとしても、メジャーSQの日にこうした投資家不安を煽るニュースが飛び込んできただけでも、相場の潮目の変化として意識されそうだ。また、こうした警戒感が強まる中でも、先週の議会証言でパウエルFRB議長は今後の経済データ次第では利上げ幅の再拡大もあり得ることに言及し、米金融引き締め懸念が強まっている。米SVBファイナンシャルの一件により、利上げ幅の拡大やターミナルレート(政策金利の最終到達点)の織り込みは一旦後退しているが、今晩の米雇用統計に加え、今週の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の2月データが1月に続き強いものとなれば、利上げ幅の拡大の織り込みが改めて進む可能性はあろ
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