冬の終わりは気分が華やぐという人がいる一方で、花粉症の人にとって春の訪れは恐怖でもある。とりわけ2023年は、花粉飛散量が多く、特にスギ花粉は多くの地域で「過去10年で最多」とも報じられている。
花粉症は、適切な処置を講じれば症状を軽減することが可能で、場合によっては完治することもある。しかし他の病気と違ってありがちなのは、鼻水や目のかゆみ、くしゃみなど、傍から見ると明らかに花粉症の症状があるにも関わらず、「自分は花粉症ではない」と言い張る人が存在することだ。
こういった人たちはいったいどういう心理なのか? ここ数年、“花粉症的”な症状に襲われるようになったAさん(40代/男性)は言う。
「2~3年前から春先になると、時々猛烈に目が痒くなる日があるんです。けど、しばらくすると痒みは治まりますし、くしゃみや鼻水も出ません。寝不足だと目がショボショボして痒くなるので、そういう日と花粉症シーズンがたまたま被っているだけ。もしくは部屋があんまりキレイじゃないんで、ハウスダストも考えられると思っています」(Aさん)
もちろん本当に花粉症ではない可能性もあるが、調べた上で花粉症ならば処置を講じれば良いだけの話。それなのに、Aさんは「認めたくない」とかたくなだ。
同じく“花粉症的”な症状に悩まされながらも、それを認めたくないBさん(20代/男性)は、「そういう考えなのは、親の影響も大きい」と言う。
「10代の頃から3月や4月はくしゃみや鼻水が止まらず、頭がボーっとすることもあります。けど、花粉症だと認めてしまったら、そういった症状がますますひどく感じられそうで……。
ウチの親は“病は気から”が口癖で、私が体調を崩しても『たくさん栄養取って早く寝なさい』『ずっと横になってると長引くよ』と言うだけ。これまでの人生、ほとんど気合いだけで乗り切ってきたので、ここで花粉症だと認めてしまうと負けたような気がして、病院には行っていません。寝込んだり、仕事を休んだりするほどではないので、だましだまし付き合っている感じです」(Bさん)