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セブン&アイの“低収益部門”イトーヨーカ堂の苦境 カリスマ創業者逝去で「店舗閉鎖加速」待ったなしか

コンビニ事業への集中に向け、さらなる店舗閉鎖は待ったなしか(時事通信フォト)

コンビニ事業への集中に向け、さらなる店舗閉鎖は待ったなしか(時事通信フォト)

 3月10日、イトーヨーカ堂の創業者でセブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊氏が老衰のため98歳で死去した。伊藤名誉会長は、1958年にヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)を設立。日本を代表するスーパーに育て上げたほか、鈴木敏文・元セブン&アイ会長の手腕を高く評価し重用するなど人材育成の面でも先見の明がある経営者だった。1973年にヨークセブン(現セブン-イレブン・ジャパン)を設立し、国内のコンビニエンスストアの草分けとして成長させたのは多くの知るところだ。

 名実ともに日本を代表する小売企業の経営者だったが、折しも祖業のイトーヨーカ堂(店舗名はイトーヨーカドー)は創業から65年を迎えたいま、過渡期を迎えている。3月9日には低迷が続く「不採算店舗閉鎖」を含む事業改革案が発表されたばかりだった。その計画では全国126店舗のうち14店舗の閉鎖を決定。併せてアパレル事業から完全撤退する意向も明らかになっていた。

 背景にあるのは、「物言う株主」(アクティビスト)として知られる米投資ファンドが、セブン&アイに対してイトーヨーカ堂など低収益部門の切り離しと、コンビニ事業への集中を求めていることにある。そうした状況のなかカリスマ創業者が亡くなったことはどのような影響を及ぼすと考えられるのか。

『経済界』編集長の関慎夫氏が語る。

「伊藤名誉会長が亡くなったことで、すぐに経営母体から分離したり売却したりするというのはまだ考えにくいと思います。息子の伊藤順朗常務が代表取締役に追加選任も持っていますからね。ただ、今後は店舗の閉鎖がさらに加速する可能性があると思います。

 ヨーカ堂は駅前に店舗があることが多いので、立地の良さを上手に活かして一種の不動産業のような形で儲けを出していくというのが生き残る道だと思います。アパレルから撤退して食品に特化していく戦略を立てているので、1階で食品を販売して、2階から上は外部のテナントを誘致していく。再起が図れるかはそこにかかっていると思います。

 とはいえ、創業者である伊藤名誉会長が亡くなったことで、不採算部門であるイトーヨーカ堂の立場が厳しくなるのは間違いないと思います。アクティビストからのプレッシャーもありますしね。すぐに切り離されることはないですが、立地の良い店舗に絞って収益性を上げられるかが今後の焦点になっていくでしょう」

 カリスマ亡き後のイトーヨーカ堂は苦境を脱して、物言う株主に対して毅然とした態度を取ることができるのか。残された経営陣にはその重責が課されている。(了)

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