だから、日本では大学入学共通テスト(前身は共通1次、センター試験)を実施していて、試験をやる以上は公平がいいと言われますが、世界から見ればそれは違います。大学側は自分たちが求めている学生のスペックを公開して、それに適った学生を入学させればいいんです。実際、私が学長を務めているビジネス・ブレークスルー(BBT)大学には、共通テストなんかありません。論文を書いてもらって、その内容について2人以上の先生が面接官として学生とディスカッションして、好きな人を合格させています。
「第4の波」では「富の偏在」が顕著になる
以上をまとめると、日本政府は、岩盤規制の撤廃、すなわち工業化社会を守るための規制を取り払って、21世紀型の教育をやる。これしかないです。
21世紀は、富の偏在が顕著になっています。その中で「第4の波」=サイバー社会の特徴を捉えた者が富を独占します(図を参照)。
「波」をいち早く捉えた者が勝つ——それは、「第2の波」の工業化社会でも、「第3の波」のIT社会でも同様でした。後者で言えば、マイクロソフトなどはその典型でしょう。
しかし、いま「第4の波」では、これはもっと極端です。サイバー社会で通用する構想力を持つ人が非常に少ないからです。そういう人に、世界規模でもって課税をする。逃れる場所をなくす。そして非常に重たい税金を払ってもらって、縁の下で地道に社会を支えているエッセンシャルワーカーのような人たちにお金を分配する。これが、世界政府の役割ということになります。
そういった“持つ者”と“持たざる者”との比率は、1対39ぐらいになるのではないかと私は思っていますけれども、そのほかに、たとえば飲食店をやったら、ちょっとひねって人と違うことをすると行列ができるとか、こういうことは身の回りにいっぱいありますよね。だから、実は人手が大量に余ってしまうサイバー社会になっても、心配の要らない仕事は、看護師や介護士、カウンセラーや芸術家、さらに寿司屋までいっぱいあります。