自分の病気が指定難病か確認を
病気によっては、治療や療養が長引き、高額な治療費を長年払い続けなければならないケースもある。そのため、自己負担額を軽減する制度がある。
まず知っておきたいのが、「難病医療費助成制度」。難病とは、発病の原因がわからず、治療方法が確立されていないため、長期の療養が必要な病気のこと。潰瘍性大腸炎、クローン病、パーキンソン病、もやもや病など338疾病が該当する。東京都では、悪性高血圧、肝内結石症など、独自に8疾病を追加している。社会保険労務士の井戸美枝さんはこう話す。
「自分の病気が指定難病か、医師に聞いてみましょう。該当すれば、各都道府県の窓口に申請できます。認定を受けると、医療費が3割負担から2割負担になりますし、自己負担上限額も変わります。夫婦2人世帯の年収の目安が約370万~約810万円であれば、外来と入院の自己負担上限額は2万円になり、さらに治療費が高額かつ長期に及べば、上限額は月額1万円になります」
ほかにも、難病医療費助成制度や自立支援医療制度といった制度や、難病患者への生活支援に給付金を支給する独自の自治体制度もある。たとえば茨城県は市区町村によって、最大4万8000円(2022年度)の難病患者福祉手当を支給している。
医療負担が長期に及びそうな場合、こうした制度に適用される疾病かどうか、担当医師や保健所、自治体の担当窓口に確認してみよう。
自治体が実施する健診&検診
「医療費をできるだけ抑えたいなら、病気にかからないよう予防し、早期発見・早期治療が叶うよう、健診や検診を受けることが大切です」(黒田さん・以下同)
毎年必ず受けたいのは、会社員であれば勤務先の健康診断、国民健康保険に加入している自営業者や主婦であれば、自治体から毎年通知が送られてくる「特定健康診査(特定健診)」だ。特定健診は、40~74才の男女を対象とした、生活習慣病予防のための健診で、費用は無料。この健診では、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病かどうかがわかる。生活習慣の改善が必要と判断されれば、特定保健指導を無料か500~1000円程度で受けられる。
「ほかに受けるべきはがん検診。早期発見であれば転移や再発のリスクも低く、治療費の負担を大きく減らせます」
がん検診の通知は、対象年齢の国民健康保険加入者に、住まいの自治体から送られてくる。無料ではないが数百円から受けられる。費用は自治体によって異なるが、民間の医療機関で受ける検診より格安で受けられるため、ぜひ活用したい。
取材・文/桜田容子
※女性セブン2023年3月30日・4月6日号