2人に1人はがんになる現代日本で、病気の保障が気がかりなのは当然だろう。そこで今回は、医療保険とがん保険に焦点を当て、保険会社に勤務する200人にアンケートを実施した。その結果、浮かび上がってきたのは「入るなら最小限にすべき。入らないのも選択肢」という、顧客だけでなく、売る側にとっての“不都合な真実”だった──。
医療保険で「入りたくない」の票を最も多く集めたのは、各社が主力商品としているはずの「定期タイプ」だった。
一生涯保障が続く終身型と違い、定期型は「定められた期間のみを保障する」もの。保障期間が満了する時に更新の通知がきて、その後も契約を続けるケースがほとんどだという。しかし、商品を扱う専門家たちは「更新するほど損をする」と口をそろえる。
「10年単位で更新され、更新ごとに保険料が上がっていくような商品は、いざ医療保障が必要な年齢になると、あまりに保険料が高額になり、支払いを継続できなくなるケースが多い」(42才男性)
実際にベテラン営業マンとして定期の医療保険を売りさばく50代男性は「保険料が上がるタイミングで解約する顧客が多いが、お金をドブに捨てているようなもの」と語る。
入りたくない医療保険の特徴を尋ねたところ、5位には「特約が多いタイプ」、7位には「2日目からしか入院費が出ないタイプ」などが挙げられた。40才の大手保険会社勤務の女性が声を潜める。
「医療技術が進歩し、最近は入院日数も格段に短くなっているのに、それに対応していない商品が実は多いんです。必要ない特約がたくさんついているのに、肝心の入院費が支払われないものもあって、実際に顧客からクレームをもらうこともある。自分ではこっそり、保険料が安い割に入院費が1日目から出る“他社の商品”に加入しています」