5月8日から、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行することが決まった。政府の発表によると、季節性インフルエンザなどと同じ分類になることで、現在は基本的に「全額公費負担」だったコロナの医療費は、高額な治療薬を除く解熱剤や検査費用が自己負担となる。
コロナ禍が始まったばかりの2020年には、感染不安に応えるように「コロナ保険」がいくつも発売された。だが感染爆発に伴って保険金の支払いが増大し、中には保険金を減額して財務省から行政処分を受けた保険会社もあった。もはやコロナ保険と呼ばれるものはほとんどなくなったと言える。
いま、5月からの「5類」移行に伴って「医療費の自己負担額が増えて破産する」「そのために医療保険に入っておいた方がいい」などといったうわさが飛び交っているが、辛口保険評論家でファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「まったくのデマ」だと否定する。
「現在、コロナに感染した際の医療費は3万円前後で、自己負担額はせいぜい1万円ほど。確かに安い金額ではありませんが、長い目で見れば、保険料の方がずっと高いと言えます」
コロナの医療費は、3月現在は初診料(3割負担で2590円)がかかる。5月8日からは、これに検査料や解熱剤代などが加算されることになるが、最大でも4170円。確かに、いまよりも金額は上がるが、医療保険で備える必要はまったくないと言える。生命保険会社での勤務経験を持つファイナンシャルプランナーの横川由理さんが言う。
「現在公表されている情報では、高額な治療薬や重篤化した際の治療費は、5月8日以降でも、当面は公費負担になるとされています」
そもそも、日本人は保険に入りすぎている。2021年の生命保険文化センターの調査によれば、世帯加入率は89.8%にのぼり、1年間に支払う保険料の平均は37.1万円。30年間払えば1113万円にもなる。コロナのほか、がんや認知症など、あらゆる不安につけ込まれて、本当は必要ない保険にいくつも入っている人が多いのが現状なのだ。
※女性セブン2023年3月30日・4月6日号