例えば、職場に食堂がなく、通勤の途中でコンビニに寄り昼食を買えば、通勤経路に戻ってからの事故は労災ですが、店内での事故は通勤中断中ですから、労災対象になりません。通勤経路のゴルフ練習場で早朝に練習し、会社に向かう途中で事故に遭えば、その練習は日常生活に必要な行為とはいえず、通勤の中断になり、それ以後の事故も労災にはなりません。
あなたが通勤経路を外れずに転んだのであれば、労災の適用に疑いの余地はなく、会社が協力しなくても自分で労災保険の給付請求を行なえます。直接、労働基準監督署に相談しましょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2023年3月31日号