「日本では集まった収益を電通が仲介手数料を得たうえで、“元締め”であるWBCIに上納します。その後の分配は大きく2つあり、各国の組織への還元ぶんと、各国への賞金ぶんに割り当てられます。公式発表はないものの日本が優勝した2009年時点では総収益の66%、つまり約7割近くをWBCIが得るような仕組みになっていたようです。2006年に大会が開催されてから、基本的な構造は今も変わっていないものかと思われます。今回のWBCで我々が得た感動も涙も、収益の7割がアメリカに流れていると思うと複雑な気持ちになります」
こうした利益分配のあり方に対して『日本プロ野球選手会』はかねてから反発してきたという。スポーツ紙デスクが解説する。
「2005年のWBC開催が決定した当初、MLB中心の利益分配を不服として日本は不参加を表明していました。しかし、2012年のロンドン五輪で野球が除外されたことを受けて、国際大会がなくなることを懸念していた当時の選手会は参加する方向に転換しました。その後、規約が大きく変わることもなく大会は継続し続けています。2009年以降、利益配分のあり方に関する具体的な情報が出てこないので、なし崩し的にブラックボックス化されているような状況なのでしょう」
盛り上がれば盛り上がるほど儲かるのは主催者
不透明な利益分配と並行して、他にも課題点が多い。前出・スポーツ紙記者が続ける。
「WBCはアメリカという特定の国のスポーツリーグが主催していて、オリンピックやワールドカップのように国際スポーツ団体(IOCやFIFAなど)が主催しているわけではありません。そちらでは当然のように認められている、代表チームのスポンサー権、代表グッズのライセンシング権がWBCでは認められていないのです。
WBCのスポンサーには、MLBのレギュラーシーズンのスポンサーに影響を与えることから、アメリカではあまり多くのスポンサーを獲得していません。昔から、日本企業がスポンサーとして大会に利益をもたらし続けてきました。今回の大会でも、結局のところ、グローバルスポンサー4社はすべて日本企業ですし、運営は“ジャパンマネー”頼りでもあるのです」
本間氏はこうした大会のあり方に違和感を唱える。