“大谷フィーバー”はどこまで広がっていくのか──。大谷翔平選手が「先発投手・3番」で登場した3月16日のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準々決勝「日本×イタリア戦」の平均世帯視聴率は48.0%にものぼり、今年の全番組で1位、WBC中継でも歴代1位の記録を更新。21日朝(日本時間)の準決勝、さらには22日朝(同)の決勝に向けてボルテージは上がる一方だ。
そんな“大谷フィーバー”は株式市場にも及んでいる。侍ジャパンのスポンサーであるスポーツ用品のミズノ、あるいは大谷選手がCM出演する日本航空やセイコーグループ、コーセーあたりかと思いきや、意外すぎる企業が株価を爆騰させていた。
その名も「大谷工業」(東証スタンダード・5939)──。
日本が誇る「二刀流」と同じ名前を冠した同社の株価は、3月6日までは4300円前後で静かに推移していた。ところが、同日夜に大谷選手が合流後初の実戦となった強化試合(阪神戦)で3ラン2発の大活躍を見せると、翌7日に大谷工業の株価は急騰。出来高は前日の20倍にまで膨らんだ。連日のストップ高で14日には1万円を突破、準々決勝当日の16日には1万6050円の最高値をつけ、わずか8営業日で株価は4倍近くまで爆上がりしたのである。
「同社は電力・通信用架線金物や送電鉄塔などを手がける資材メーカーで、会社自体に株価上昇につながるような材料は特に見当たらない。裏で仕手筋が動いたといった噂も浮上しましたが、そもそも大谷選手とは何の関係もないのに、名字と一緒というだけで“遊び心”を持った投資家がよってたかって売り買いをした結果だと見られています」(市場関係者)
ちなみに、大谷工業の大株主は名門ホテルの「ニュー・オータニ」であり、同社の社長が大谷工業の会長も務める。とはいえ、単に社名が「大谷」だったからという理由で、ここまで株価が急騰するとは、“大谷フィーバー”おそるべしというほかない。