相続の権利を持つ人の数や法定相続分を確認したら、大体の相続税を計算できる。前述の通り、相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×相続人の人数」で算出する。
たとえば夫の相続財産が5000万円で妻と子供2人が相続人の場合、基礎控除額は4800万円で、遺産額から基礎控除額を引いた200万円が課税遺産総額となる。
「課税遺産総額がマイナスなら相続税はかかりません。プラスなら相続人ごとの法定相続分で分けた各自の取り分に所定の税率をかけて相続税額を算出します」
相続財産の額に応じて相続税の税率は異なる。1000万円以下の場合は税率10%、3000万円以下の場合は税率15%から控除額50万円を引いた額といったように相続額が多くなるほど税率も高くなる。
基本ルールを知ったうえで、相続税の金額を大きく減らす特例の存在も押さえておきたい。
「たとえば配偶者の税額軽減。配偶者は相続額が1億6000万円以下なら、相続が発生してから10か月以内に税務署に配偶者控除の適用を申請すれば相続税がかかりません。仮に1億6000万円を超えても、法定相続分(子がいる場合は50%)まで非課税です」
五十嵐氏はこう強調する。
「相続税対策で何より大切なのは“自分の家族は相続税がかかるのか”を調べること。財産目録を作成して相続人を確認し、相続税を大まかに把握することが最初の一歩になります」
※週刊ポスト2023年4月7・14日号