キャリア

「コンビニバイトも続かなかった…」選択定年制で55歳で退職、海外移住を夢見るバブル世代男性の“理想と現実”

「一日も無駄にできない。初めて自分らしく生きている」

 やりがいを感じられず、1年でその学校は退職。別の日本語学校に非常勤講師として転職し、現在月4万~5万円の収入を得ているというコウジさん。ただ、これでは“採算ライン”を下回ってしまうため、コンビニのアルバイトに挑戦した。

 しかしコウジさんは、「誰でもできると思っていたのに、公共料金の支払い、チケットの引き取り、フリマアプリの発送など、やることが多すぎて、全く覚えられないし、できるようになる気もしない」と、3日しか続かなかった。「オレはこんなに仕事ができないやつだったのか」とすっかり意気消沈したという。

 踏んだり蹴ったりのコウジさんだが、とうとう妻からも見限られてしまう。「あなたの夢についていけない」と別居を宣告されたのだ。

 それでも、「海外移住も視野に入れているので、むしろ別居はあり」と前向きなコウジさん。日本語教育能力検定試験に向けて猛勉強中で、会社員時代に赴任経験がある国の就労ビザ取得を検討しているが、「60歳」までという年齢制限があるため、「一日も無駄にできない。初めて自分らしく生きている」と日々勉強に精を出している。

 長年勤めてきた会社を辞めてから、「理想と現実は違っていた」と感じることも多かったコウジさんだが、人生はまだ先が長いということもわかっている。会社員時代に叶えられなかった自分の夢に向かって、自分自身を叱咤激励する日々は、まだまだ続いているようだ。(了)

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