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「コオロギ食」はなぜ敬遠されるのか? 60代女性記者「昆虫を捕まえて遊んだ子供の頃の記憶がジャマをする」

無印良品の「コオロギせんべい」(時事通信フォト)

無印良品の「コオロギせんべい」(時事通信フォト)

「恐」という字の「心」を「虫」に

 しかし世間の人はどうなのかしら。そう思ってネットで調べてみて笑っちゃった。いち早くコオロギパウダー入りのパンを製造・販売したパンメーカーのパスコのホームページに、私の気持ちがそのまんま書いてあったんだもの。

《食べたいものが手に入る時代に、あえて昆虫を食料にしなくてもいいでしょ? そう笑い飛ばす人も少なくありません。むしろフードロスが問題になっている日本では、食料が不足する未来を想像することは難しい状況です》(『私たちの想い』より)

 そんな話を田舎の同級生のE子(66才)にすると、「コオロギって、漢字では『蛩』って書くんだって。『恐』という字の『心』を『虫』にしたわけだけど、この一文字が意味するものを私は考えちゃう。イナゴは『蝗』と書くそうだけど、大違いね」と思わぬことを言うの。

「まぁね。庭の隅の湿っぽいところで鳴いているコオロギをそのまま食べさせようとするんじゃなくて、食用コオロギは養殖業者が清潔な環境下で飼育・生産しているらしいけど、それでも私は食べたくないな」と言う。

 そこでコオロギ入りのせんべいとチョコを無印良品銀座店に買いに行った私。あの無印良品が販売するなら間違いないという信頼があるし、おせんべいは1袋220円、チョコレートバーだって1本220円だ。

 私だってライターの端くれだもの。原稿を書くためなら、よしッ、食べようじゃないのと、意気込んだんだけどね。スナック菓子の売り場を探してもないんだわ。スタッフに聞いてみたら「品切れです」とにべもない。

「売れすぎて入荷が間に合わないってこと?」と聞くと、「う~ん、まあ、発売当時はそうかもしれなかったですけど、いまは品切れしています」と、なんとも歯切れが悪いの。

 そりゃそうだよね。人の生理的な嫌悪感をナメたらあかんって。いくら“意識高い系”を気取ったところで、生理的にイヤなものはイヤ! それにつきる(少なくとも現時点では)。

 でね。私の心配は、コオロギパウダーが余ってしまったらどうするか?ということ。鳴り物入りで作って廃棄するわけにもいかないだろうから、まさか、ソバとかにこっそり練り込まれたりして? 色付きの粉もの、食べにくくなっちゃったなぁ。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2023年4月13日号

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