失業した人が次の仕事を見つけるまでに一定期間、受け取ることができる「失業手当」。自動的にすべての人が受け取れるわけでなく、そこには受給要件が存在する。退職する前に知っておきたい「失業手当をしっかり受け取るポイント」について、厚生労働省とハローワークの資料をもとに具体的を交えて解説しよう。
前職の被保険者期間と合算できる
失業手当には「離職日以前に一定期間以上の被保険者期間があること」という受給要件が存在する。被保険者期間とは、雇用保険に加入していた期間で、給与計算となる日数が11日間以上(労働時間80時間以上)ある月数をいう。自身から退職を申し出たケースは「自己都合退職」として12か月以上、会社の倒産や解雇などの場合は「会社都合退職」として6か月以上の被保険者期間が必要となる。
なかには、2年間のうちに転職を経験し、勤務先での被保険者期間だけでは受給要件に満たない人もいるだろう。そのような場合は、前職の被保険者期間と合算して計算することができる。ただし、前職を辞めたときに失業手当を受給したり、現職と前職との間に1年を超える空白期間があったりする場合は合算できないので注意が必要だ。
前職の被保険者期間が合算できるか不安なときは、離職票を持参のうえハローワーク窓口で確認しよう。
職業訓練を受けると給付期間が延びる
雇用保険には「職業訓練」というスキルや資格取得を支援する公的制度がある。職業訓練では、給付金を受け取りながらパソコンやデザイン、医療事務といった様々なスキルを習得するための訓練が準備されている。
失業手当を受給している人が職業訓練を受けると、訓練終了まで失業手当を受給する権利が得られる。例えば、失業手当の受給期間が120日の人であっても、180日の訓練を受けている間は失業手当を受給し続けられることは覚えておきたい。