離婚した場合、トラブルになりやすいのが養育費の問題。もし職を失うなどして、養育費を払うことが厳しくなった場合、減額してもらうことはできるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
コロナ禍のせいで職を失い、働く気力も失っています。そんな私ですが、3年前に離婚。10歳になる一人息子には、18歳まで毎月10万円の養育費を払うと約束しています。でも、無職の状況では養育費を払うのも大変。こういう場合、前妻に事情を説明すれば、養育費の減額に納得してもらえるでしょうか。
【回答】
子の養育費について前妻と合意が成立していれば、失職したからといって、約束した金額の支払い義務がなくなるわけではありません。
ただ、養育費は両親が現に得ている実収入に基づき算定するのが原則です。そして、その額は家庭裁判所が採用する「標準算定方式」(両親のそれぞれの総収入から税金や職業費、特別経費を控除した基礎収入の額を定め、養育義務者が子と同居していると仮定すれば、子のために充てられたはずの生活費の額を生活保護基準、及び教育費に関する統計に基づく標準的な生活費指数によって算出。2人の基礎収入の割合で按分して義務者が分担する養育費額を算定する方法。簡易な算定表が公表されています)に基づいて算定されます。合意後に収入を失えば、算定される負担額は違ってくるはずです。
養育費の額は、協議して変更できますが、当事者間で話がまとまらないときは、家庭裁判所に変更を求めることもできます。