新年度を迎え、新しい船出を祝して、家族や友人で集まる機会が増えるこの季節。「安くておいしい」を求めて、団らんの場に回転寿司を選ぶ人は多いだろう。コロナ禍が明けつつあるので、「魅惑のニッポングルメ」を食べようと行列に並ぶ外国人観光客の姿も目立つ。
昨今の食品の値上げラッシュのなかで1皿100円台を維持する回転寿司は日本が誇る食文化の1つだが、その信頼を揺るがす疑惑が持ち上がった。
3月30日発売の『週刊文春』が、大手回転寿司チェーン「はま寿司」の郡山堤店(福島県)で長期にわたり、使用期限(消費期限)が切れた寿司ネタが提供されてきたと報じたのだ。
スシロー、くら寿司に次ぐ業界3位の売り上げ規模を持つはま寿司に突如持ち上がった食の安全違反疑惑は、回転寿司ファンのみならず、その企業努力を信じてきた多くの人に衝撃を与えた(はま寿司運営会社は本誌・女性セブンの取材に「現在当該店舗の全従業員へ事実関係の確認を行っています。事実が明確化された際に速やかに公表いたします」と回答。その後、ホームページ上で「食材の期限管理に関し、食品衛生法の趣旨には即しているものの、一部で当社の定めた基準に基づく管理がなされていなかったことを確認しました」と調査結果を公表した)。
だがこれは氷山の一角にすぎない。取材を進めると、業界をめぐる闇が次から次へと“回って”きた──。
「私が働いていた店舗は、回転レーンを掃除したことがありませんでした」
そう語るのは、神奈川県内にある大手回転寿司チェーンの店舗で働いていたAさん。回転寿司の最大の楽しみはレーンにのって運ばれてくる多くの皿から好みの1皿を選ぶことだが、Aさんの働く店舗ではその「根幹」となるレーンが不潔だったという。
「レーンに直接お寿司がのるわけではないとの理由から、店ではレーンを掃除しないことが当たり前になっていました。誰も掃除しないレーンには米粒がこびりつき、うっすらとほこりもたまっていましたが、気にする従業員はいませんでした」(Aさん)
たしかにレーンに直接、寿司が置かれているわけではない。だが時には不測の事態が生じることも。
「時々皿の上の寿司が倒れて、その勢いでシャリやネタがレーンの上にこぼれ落ちることがありました。ほこりのついたネタやシャリは本来なら廃棄すべきですが、こっそり、皿の上にのせ直して提供していましたね」(Aさん)