「月1万1000円で焼肉食べ放題」――昨年11月、焼肉チェーンの牛角がこんな“太っ腹”なサービスを打ち出した。
近ごろよく耳にする「サブスク(定額制)」サービスで、通常3480円(税抜き)の90分食べ放題コースなどが定期券購入で1か月間、何度でも利用できるというものだった。ところが、関東の3店舗で試験導入したところ、今年1月に入り購入者が殺到し、「これ以上販売すると(客が)入店できない事態が想定された」(運営会社のレインズインターナショナル)ため、定期は販売停止に追い込まれた。
牛角の試みは頓挫したが、飲食業界には確実にサブスクの波が押し寄せている。はたして得をするのは客か店か。首都圏に13店舗展開する「野郎ラーメン」でも2017年から定額制を導入。月額8600円(税抜き)で1日1杯の利用が可能だ。780~880円のラーメン3種から選ぶことができる。
運営会社のフードリヴァンプ広報によると、「サービス開始当初は1か月毎日利用するお客様もいました。でも、うちのラーメンは普通盛りでも麺170グラム、野菜300グラムとボリュームがあるので、『毎日1杯』を続けるのは難しいかも知れません(笑い)」
元を取るには最低でも月に10杯程度、つまり週3杯ほど食べなければならず、かなりハードルは高い。
実際に購入した50代の男性会社員は、「読みが甘かった」と悔やむ。
「『元を取るぞ』と意気込んで店に通ったんです。でも、がっつり系ラーメンは私には週1~2回が限界でした。若い頃なら毎日でも食べられたんだけど……」
店側の“勝ち”になったようだ。
※週刊ポスト2020年2月7日号
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