今年に入り、スシローで男性客がしょうゆ差しや湯飲みをなめる「ペロペロ動画」がSNSで拡散した。若者らによる迷惑動画は「客テロ」として炎上し、被害を被った一部の大手チェーン店は対策として常時レーン上に寿司を流すのを一時的にとりやめている。それでもレーンの掃除が行き届いていないのは大きな問題だろう。
別の回転寿司チェーンで厨房を長年担当していたベテランのBさんはこう明かす。
「私が働いていた店はオープンしたてで、店長の衛生指導はしっかりしていました。本部が用意したマニュアルもちゃんとありました。でも、従業員やアルバイトの意識が低かったんです。店には“ラップなどで包んでいても地面に落とした食材は廃棄する”というルールがありましたが、若いバイトの子たちは包まれていない状態で床に落としたまぐろですら、軽く水で流す程度で提供していた。最初は注意していましたが、しょっちゅうあることなので、途中から諦めていました」
ソースとチーズで汚れた作業台
危ないのは食材だけとは限らない。昨秋まで大手回転寿司チェーンで3年ほどアルバイトをしていたCさんが打ち明ける。
「気になったのは、お箸、スプーン、フォークといったカトラリーです。強力な洗剤を使って食洗機で一気に洗浄するのですが、何回も繰り返し使用するとなかなか落ちにくい汚れが残ります。正直、自分が客なら絶対に使いたくない。身内にも『使い捨ての割り箸をもらった方がいい』とアドバイスしています」
前出のBさんが続ける。
「厨房勤務のスタッフは衛生管理のためゴム製の手袋をはめます。ルールでは一定時間で手袋を交換する必要がありますが、実際に替える人はほとんどいなかった。勤務中ずっと同じ手袋をはめている人もいました」
板前がホールに常駐しない店では、寿司を握るシーンを客が見ることはない。前出のAさんは、「仕切りの向こう側にあるキッチンは、結構おぞましいですよ」と指摘する。
「私の店ではロボットが握ったシャリに従業員がネタをのせていました。シャリにネタをのせる台はたれや油にまみれて、触らなくてもわかるくらいベタベタしていた。また、ソースやチーズを使うメニューを作る作業台は1皿提供するたびに掃除する規則があったものの、実際にはいい加減で、変わり種メニューのステーキのソースやマヨネーズなんかが混ざって、ひどい味になっていたと思いますよ」