回転寿司チェーンに現在も勤務するDさんも言う。
「店長からキッチンの作業テーブルは1時間に1回拭くよう指示されていますが、忙しいときは一気に40皿ほど注文が入るので、とても拭いていられない。テーブルが盛り付けの際にこぼれたねぎまみれになることもあります」
飲食店の生命線でもある食の安全がここまでルーズになる理由について、前出のCさんが元従業員の立場から語る。
「回転寿司は流れ作業で常に時間に急かされ、丁寧な接客や対応ができません。従業員の入れ替わりも激しく2か月続けばいい方だから、従業員への指導や教育がいい加減になりがちですし、モチベーションも低い」
食品ジャーナリストの椎名玲さんは衛生管理がおろそかになる理由は「本部からのプレッシャーが大きい」と話す。
「廃棄食材が多いほど売り上げが低下し、店長の責任問題になります。そのため売り上げを落とすなという本部の締め付けが重圧になり、鮮度を犠牲にしてでもネタやシャリを使い回してしまう。そうした店は従業員の管理が行き届かず、店全体のモラルが低下することも考えられます。問題が根深いのは、そういった悪質な行いが、店舗レベルで起きているのを、本部が把握できていないこと。検査などを実施して“ウチは安全”と標榜していても、実情はガタガタというケースもある」
回転寿司の食の安全はどこへ消えたのか。
※女性セブン2023年4月20日号