バッグは無理だけど財布なら…
メーカーに勤務する女性・ユイさん(仮名、25歳)は、手取り23万円ほど。「ちょっと背伸び」だったそうだが、約9万円のセリーヌの財布を購入した。メンバー全員がハイブランドのアンバサダーとして活動している韓国女性アーティストの影響からだという。
「ディオール、シャネル、セリーヌ、サンローランなど、ハイブランドを着こなす姿に憧れます。私の人生はハイブランドとは無縁だと思っていたんですけど、推しがアンバサダーを務めているセリーヌが気になり、バッグは高くて無理だけど、そのデザインに近い財布を買いました。インスタでそういったファッションアイテムをチェックしているうちに、ハイブランドにも詳しくなってきました」
コロナ以前は、お酒や旅行が好きだったユイさんだが、今は自分が「よく使うモノにお金を使いたい」と心境に変化があったという。
「身近なモノをちょっと豪華にすると、心が満たされることに気づいたんです。自分を大切にしているという充足感も味わえました。自分が毎日を気分よく過ごせるための投資のようなものです」
アイドルが着けていたピアスは瞬殺
販売店側は、若者がハイブランド品を購入する傾向をどのように見ているのだろうか。都内のアパレル店に勤める男性・カイトさん(仮名、30歳)は、「ジャニーズや、韓国系のアイドルが身に付けたもので、大体5万円以内のものはあっという間になくなる」と実感を話す。
「まず、韓国のアイドルがハイブランドの広告を担っていることが多く、そうした商品は若い世代の売れ行きも好調です。インスタやYouTubeなどで、彼らが身に着けているもののうち、5万円以内ぐらいなら手が出しやすいようです。最近だと、ジャニーズメンバーが着けていたピアスが瞬殺で、ずっと入荷待ちになっていました」
世代に関わらず、ハイブランドを買う大きな理由のひとつとして、“充足感を得る”という点があるだろうが、若い世代のなかには、“推しとおそろい”であることも、購買意欲として強い動機になっている人もいるようだ。(了)