ある売上上位のキャバ嬢は次のように回答しました。「キャバクラでいっぱい稼ぎたいのは、旅行に行きたいから。なぜなら、新しい経験をしたり違う文化に触れたりすることで、人間力を高めていきたいから」。ありきたりな承認欲求ではなく、自分の将来像や経験にもとづいた目的です。このように自分の本当の欲求に気づいているキャバ嬢ほど売上をつくる傾向にあります。
落ち込んでいるときかけるべき言葉
目標数値を設定したら、どうやったら達成できるのか、さらに細かい数字に落とし込んでいきます。すると達成可能かどうか本人が判断でき、軌道修正できます。
「売上目標が100万円なら、○○ちゃんの出勤日が来月は10日だから1日10万円。達成できそう?」と聞くと、「難しいかも……」とうなるキャバ嬢もいます。ここで目標を下げる場合もありますが、細かく検証して達成可能な方法を探す場合もあります。例えば次のように。
・延長率を今月実績の30%から40%に上げる。
・シャンパンを○本おろしてもらう。そのために○名のお客様を呼び、そのためには○名に連絡をする。そのために○名と連絡先を交換する。
あるいは単純に給料を上げたいだけなら、出勤日を増やせば達成できるかもしれません。どのように行動すれば達成できるのかを明確にすると、本人もモチベーションが上がります。
このような達成方法へのサポートは、「目標達成したい気持ちはあるがどうすればいいか分からない」キャバ嬢に対して行います。自分で考えて達成できる人は、そのほうがいいでしょう。達成方法も人それぞれに合ったやり方があるからです。
もしあなたの部下が「今月もノルマが達成できなくて申し訳ないです……」と落ち込んでいたら、どんな言葉をかけますか?
キャバクラでは、お客様の入りが少ないとキャバ嬢に退勤してもらう「早上がり」をさせることがあります。普段の売上が多くないキャバ嬢は早上がりになることも多いです。早上がりを伝えると、売上をつくれていないことについて申し訳なさそうにするキャバ嬢がいます。このとき「ちゃんと営業してる?」などと追い打ちをかけるように威圧する黒服がいますが、キャバ嬢を萎縮させるだけで何の効果もありません。
こういうときに私は次のように話します。「いいんだよ、気にしないで。俺のほうも○○ちゃんをうまく生かしきれていないところがあるからさ。今後はもっとフリーのお客様をつけるように頑張るから、今日は上がろう」。
威圧的な叱責は相手に反省を促すために有効な場合がありますが、すでに反省している人に対して行う必要はありません。サポート役の黒服がするべきことは、「早上がりはあなただけの責任ではない」ことを伝え、安心感を与えることです。落ち込ませずに「明日も頑張ろう」と元気に帰ってもらうことが、次の売上に繋がると考えています。