富裕層が数多く暮らす東京・港区の麻布界隈。そこでは多くの“麻布妻”と呼ばれる人たちが暮らしているが、数人が集まるとマウンティングしあうケースが少なくないという。自身も麻布妻でライターの高木希美氏が、最近起きた「元ホステス同士の格付け合戦」をリポートする。
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麻布妻のママ友と仲良くなると、ときどき結婚前の仕事を教えてくれることがあります。中でも多いなあと感じるのが「ホステス」。それには2種類あって、夜のお店というパターンと、空港で働く「グランドホステス(地上職員)」です(最近は男性職員が増えてきたからか「グランドスタッフ」と呼ばれるようになりましたが)。
デニムを着ている姿が垢抜けていて目を惹く人は、聞くと「元グランドホステスでした」「実は昔、銀座で働いてました(けっこう売れていたんですという人が多い)」って話になるケースが何度もありました。他に多いのは、キャビンアテンダント(CA)です。
元CAと元グランドホステスは波長でわかるのか、ママ同士でも一緒にランチをするグループになることが多いもの。すると繰り広げられるのは、「採用はどこ?」「地上?」といった会話です。
航空系は色々な子会社からの派遣や、契約社員、中途など採用形態が様々なので一概に「◯◯社でグランドをしていました」あるいは「CAをしていました」といっても、どんな採用方法で働いていたかによって、“格”が違うらしいのです。
元CAと元グランドでも、「地上? 地上だと移動ないから楽でいいね~」「けど地上もけっこう大変なんですよ」「へー」なんて、悪気があるのかないのか、どうしてもマウンティングになってしまう会話が繰り広げられています。彼女たちは現役ではなく、あくまでも「元」なのに、ママになっても働いていた当時の肩書きは抜けることがないのです。
最近、同じことが、夜の元ホステスだった麻布妻たちにも起きました。その日集まったのは4人。ご主人はみんな医師だったり会社を経営していたりと富裕層ばかりです。誰からともなく「元ホステス」だったメンバーが声を掛け合って集合しました。