澤上篤人さん「忙しくて、苦労を感じるひまがない」
銀行や証券会社などに属さない日本初の独立系運用会社として投資信託「さわかみファンド」を立ち上げた澤上篤人さん(76才)も「毎日が楽しく、忙しくて、苦労を感じるひまがない」と語る。
澤上さんの成功までの道のりは、ゼロどころか、大きなマイナスからのスタートだった。17才で事業家の父を亡くした澤上さんは、残された借金を返すために、高校を卒業してすぐに働き始めた。だが、とうてい追いつかない。そこで、借金を返済しながら、自分で学費を払って大学を卒業。その後入社した松下電器産業(現・パナソニック)を1年も経たないうちに退社して単身ヨーロッパに渡り、金融業界に身を置くことになった。
その後、スイス・キャピタルインターナショナルのアナリスト兼ファンドアドバイザー、スイス最大のプライベートバンクであるピクテ銀行の日本代表などを務め上げた。
「ヨーロッパでは、アルバイトからのスタートでした。当時、私は会社で唯一の有色人種でしたが、キャピタルの社長は分け隔てなく接してくれました。趣味のF1で世界チャンピオンになったファンドマネージャーや、のちにノーベル経済学賞を取ることになるロバート・マンデル氏をいち早く見つけて社内の勉強会に呼んだ社長など、才能も実力もけた違いのかたがたの中で学びました」(澤上さん・以下同)
海外の第一線で得た約30年の運用経験をもとに1999年、初心者でも投資できるよう、さわかみファンドを設立。そして世界で初めて、1口1万円から積み立てできる投資信託の積み立て制度を始めた。以来24年にわたって長期投資を続け、現在、預かり資産3300億円超のファンドにまで成長させた。
「私が見てきた世界レベルの“本物のお金持ち”は、いつだって本気で仕事やお金、人生に向き合っているのです。彼らには──もちろん私もですが、ブランド品や高級車をひけらかしたり、偉ぶるようなひまはありません」
澤上さんをはじめ、江上さんも大森さんも「瞬間最大風速的に30億円を稼ぎ出す人は少なくはない」と語る。だがその一方で、そうした“成金”ともいえるお金持ちたちは、ほどなくして消えていく、とも。超富裕層の中でも“本物のお金持ち”は極めて少ないのだ。
※女性セブン2023年4月27日号