昨年末にまとめられた2023年度与党税制改正大綱では、「超富裕層への課税強化」が盛り込まれた。給与のほか株式や土地建物の売却益などを合計した年間所得が30億円を超える「超富裕層」への課税を強化する見通しだ。
庶民からすれば、年間所得30億円以上と言われても、まったく想像がつかないだろう。そして、そもそもどうやってそれだけのお金を稼ぐのかもわからない。富裕層の海外移住をサポートするアエルワールド代表で、『日本のシン富裕層』著者の大森健史さんによると、お金持ちには、お金持ちならではの稼ぎ方があるという。
「仮に年収が1200万円でも、税金や社会保険料を引かれると、手元には500万円ほどしか残りません。お金持ちになれる人は“それなら自分で会社を興して、その株式を5000万円で売却すれば、税率は20%だから、手元には4000万円が残る”と考えるのです。それも、ただそのまま売却するのではなく、資産管理会社と取引して会社ごと売却することで、より多くのお金を残すことができます」(大森さん)
資産家は「たくさんお金を稼ごう」と考えるのではなく「少しでも出ていくお金を減らし、多くのお金を残そう」という発想に長けているのだ。
有名プロスポーツ選手から経営者まで、年収1億円を超えるクライアントを多数抱える富裕層専門ファイナンシャルプランナーの江上治さんも「お金の仕組みを深く理解していなければ、お金持ちになれない」と話す。
「一般庶民は収入ばかり気にしますが、お金持ちは常に、手元の資産を守ることに頭を使うのです。税金を安く抑えるためには海外移住もいとわないかたが多い」(江上さん)
そんな大金持ちの最たる例は、元ライブドア社長で、最高年収は220億円ともいわれる堀江貴文さんだろう。ライブドア事件で有罪判決を受けた後も、オンラインサロンやロケット開発、カレーパン屋、焼肉店などに複数出資している。
「莫大な資産をつくることができる人は、自分が“おもしろい”と思ったことに次々と挑戦し、ビジネスにしていきます。つまり、多くの人が楽しいと感じ、共感してくれるものを常に探し求めてすぐに決断し、実行している。だから、多くの資産家はリタイアしません。何才になっても仕事を楽しみ、その結果、資産はさらに増えていくのです」(大森さん)