チャップリンは「人生に必要なものは、愛と勇気と、いくばくかのお金だ」と言った。「“いくばくか”だなんてとんでもない! お金はあればあるほどいい!」──庶民は、誰もがこう思うだろう。だが“お金の本質”を知っている殿上人たちは、そうではない。お金は、本当に正しい使い方を知っている人のところにしか来てはくれない。
国内の大手百貨店の外商担当を務めるAさんは「お金もモノも人間も大切にする“本物のお金持ち”と、そうでないお金持ちがいる」と語る。
「代々おつきあいのあるお客さまは、洋服1着であっても、長く着られるか、手入れはどうすればいいのか、丈は自分に合っているか、袖を折り返したらどう見えるかなど、とても細かいところまで吟味して、心から納得してからお買い上げになります。いっときの流行に左右されることはありません。その代わり、これと決めたら、金額はいとわない。ですが、ローンは組まれません。“ローンを組まないと買えないようなものは、自分の身の丈に合わない”と考えるのです。
一方、そうでないかたは、ご自分の買ったものを覚えておらず、似たようなものをいくつも買っていかれます。モノもお金も、人間も大切にしておらず“うちに品物を持ってくるついでに、スーパーで買い物をしてきて”などと頼まれたこともありました。感情の浮き沈みが激しく、お金やモノに振り回されて“疲れた”が口ぐせになっているかたも多いのです」(Aさん)
お金はあくまでも道具であり、手段に過ぎない。なのに、お金そのものや、お金で得られる品物が主役になってしまえば、振り回されて疲弊するのは当然だ。一定の期間だけ大金を稼ぐことはできても、決して長くは続かないだろう。
豊かになるために必要な4つの力
本物のお金持ちはそもそも、目立つことを好まない。有名プロスポーツ選手から経営者まで、年収1億円を超えるクライアントを多数抱える富裕層専門ファイナンシャルプランナーの江上治さんは、こう話す。
「“お金持ちアピール”をすれば税務署にマークされる原因にもなるほか、現代のネット社会では、自分や家族、従業員が危険にさらされる恐れもあります。本当に豊かな人は、目立つことより、資産と家族を守り、維持することの方が大切だと知っているのです」